【フェラーリのリセールが強いモデルは?】中古相場で人気の高い車種ランキング(2025年度版)

その名を口にするだけで、誰もがアドレナリンの昂りを感じる、真紅の跳ね馬。フェラーリは、単なる自動車メーカーではありません。それは、レースへの情熱、妥協なきエンジニアリング、そしてイタリアの芸術性が融合した、走る伝説そのものです。
天文学的な新車価格もさることながら、フェラーリは中古車市場においても、他のブランドとは一線を画す、極めて特殊な価値基準を持つことで知られています。一部のモデルは、時間が経つほどに価値を高め、投機的な対象として、あるいは動く美術品として、世界中の富裕層やコレクターたちの熱狂的な視線を集めているのです。しかし、全てのフェラーリが、同じように価値を保ち続けるわけではありません。
この記事では、2025年現在の国内外のオークション市場や、最新の中古車市場の動向を踏まえ、リセールバリューという観点で特に傑出した価値を持つフェラーリを、ランキング形式で、その理由と共に深く掘り下げていきます。なぜこれらのモデルは、時を超えて人々を魅了し、資産として輝き続けるのか。その秘密に迫ります。
- 注意: 本ランキングは、限定生産されたスペシャルモデルや、歴史的なクラシックモデルを中心に、国内外の取引実例や市場アナリストの見解などを元に推定しています。
- 年式、走行距離、コンディション、オプション、そして「来歴(プロベナンス)」など、無数の要因で価格は大きく変動します。あくまで一般的な市場評価の目安としてご覧ください。
目次
第1位:ラフェラーリ(LaFerrari)― 新世代の頂点、ハイブリッドの至宝

ハイパーカー界の頂点に君臨する、現代の至宝。 2013年に登場したラフェラーリは、F40、F50、エンツォと続くフェラーリのスペチアーレ(スペシャルモデル)の血統を受け継ぐ、ブランド初のハイブリッド・ハイパーカーです。その心臓部は、F1で培われた運動エネルギー回生システム「HY-KERS」を搭載し、自然吸気V12エンジンとモーターを合わせて、実に963馬力という異次元のパワーを発生させます。
しかし、その価値を決定づけているのは、単なる性能ではありません。クーペ版は、世界中でわずか499台しか生産されず、購入できるのは、フェラーリが選んだ、ごく一部の優良な顧客のみ。この徹底した希少性のコントロールが、中古車市場での価値を異常なレベルにまで高めています。オークションに出品されれば、新車時の価格(約1億6000万円)の数倍にあたる、5億円以上の値が付くことも珍しくありません。まさに、現代における最高の「動く資産」の一つです。
• リセールの強さの理由:
- 絶対的な希少性:徹底的に管理された生産台数(499台)と、厳しい購入条件。
- ブランドの象徴:21世紀のフェラーリを代表する、フラッグシップとしての絶対的な存在感。
- 技術的マイルストーン:フェラーリ初のハイブリッドという、歴史的なマイルストーン。
第2位:F40 ― 創始者の魂が宿る、最後のスペチアーレ

“伝説”という言葉が、これほど似合うクルマはない。 F40は、フェラーリ創設40周年を記念して1987年にデビューした、ブランド史における不滅の金字塔です。そして何より、創始者であるエンツォ・フェラーリが、その生涯の最後に承認したモデルとして、特別な意味を持っています。快適装備は一切なく、内張りすら剥がされたスパルタンな室内。カーボンファイバー製のボディに、荒々しいV8ツインターボエンジンを搭載し、その走りは「公道を走るレーシングカー」そのものでした。
当初は400台程度の限定生産と噂されましたが、あまりの需要の高さに、最終的には約1,300台が生産されたと言われています。しかし、その圧倒的な歴史的背景と、純粋なドライビングマシンとしてのカリスマ性は、今なお世界中のコレクターを惹きつけてやみません。コンディションの良い個体は、常に3億円以上で取引されており、まさに「走る神話」として、その価値を高め続けています。
• リセールの強さの理由:
- 歴史的背景:エンツォ・フェラーリが最後に手掛けた、という、他のどのモデルも持ち得ない強力なストーリー。
- 時代を象徴するパフォーマンス:80年代のスーパーカーブームの頂点に立つ、圧倒的な存在感。
- 投資対象としての価値:クラシックカー市場において、常にベンチマークとされる、安定した資産価値。
第3位:エンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)― F1の遺伝子を持つ、21世紀の記念碑

創始者の名を、その身に刻むことを許された、唯一無二の存在。 2002年に登場したエンツォ・フェラーリは、当時、F1で無敵の強さを誇っていたフェラーリが、その技術の粋を、惜しみなく公道モデルに注ぎ込んだ、21世紀最初のスペチアーレです。F1マシンを彷彿とさせる鋭いノーズ、カーボンファイバー製のモノコック、そしてパドルシフトで操る「F1マチック」。その全てが、当時の最先端でした。
生産台数は、当初349台の予定でしたが、厳選された顧客からの熱烈な要望に応える形で、最終的に399台が生産されました(後に、慈善オークションのためにもう1台が追加生産)。この極めて少ない生産台数と、ブランドの象徴である「エンツォ」の名を冠する神聖さから、リセールバリューはF40にも匹敵します。近年のオークションでは、4億円を超える価格で落札されることもあり、その価値は下がることを知りません。
• リセールの強さの理由:
- ネーミングの神聖性:創業者自身の名を冠するという、究極のブランド価値。
- F1直系のテクノロジー:当時のF1で培われた最先端技術への、高い評価。
- 絶対的な希少価値:わずか399台という、極めて少ない生産台数。
第4位:F50 ― 公道を走るF1マシン、究極の官能性能

「公道を走るF1マシン」という、過激なコンセプト。 F40の後継として、フェラーリ創設50周年を記念して1995年に登場したF50。その最大の特徴は、ターボを搭載したF40とは対照的に、当時のF1マシン(フェラーリ・641)のエンジンブロックをベースに開発された、自然吸気V12エンジンを搭載している点です。エンジンをボディの構造部材として使う「リジッドマウント」方式を採用し、そのサウンドと振動は、まさにF1マシンそのもの。ルーフを取り外せば、世界で最も官能的なオープンエア・ドライブを体験できます。
しかし、その過激すぎるコンセプトと、F40とは異なるデザインから、デビュー当時は賛否両論を巻き起こしました。だが、時を経て、その唯一無二のキャラクターと、わずか349台という極端な希少性から再評価が進み、今やF40やエンツォに匹敵する、極めて高い価値を持つコレクターズアイテムとなっています。現在の取引価格は、5億円以上とも言われています。
• リセールの強さの理由:
- F1直系のエンジン:自然吸気V12という、最もフェラーリらしいパワーユニットへの憧憬。
- 究極の希少性:スペチアーレの中でも、特に少ない349台という生産台数。
- 唯一無二のキャラクター:時を経て再評価された、過激で官能的なコンセプト。
第5位:SF90 ストラダーレ ― 電動化時代の新たな指標

跳ね馬の未来を示す、電動化時代のフラッグシップ。 SF90ストラダーレは、フェラーリ初の市販プラグインハイブリッド(PHEV)モデルであり、その合計出力は1,000馬力に達します。3つのモーターとV8ツインターボエンジンを組み合わせ、四輪を駆動するその走りは、もはや異次元の領域です。このモデルは、ラフェラーリのような厳格な限定生産車ではありませんが、その革新的な技術と、電動化時代におけるフェラーリの新たな方向性を示す、極めて重要なモデルとして位置づけられています。
中古車市場においては、最新技術への高い関心と、高額な新車価格(約5,300万円~)から、依然として高い価値を維持しています。特に、サーキット性能を追求した軽量バージョン「アセットフィオラノ」は、より高いリセールバリューが期待できます。今後、フェラーリの電動化が進むにつれて、その先駆けとなったこのモデルの歴史的価値は、さらに高まっていく可能性があります。
• リセールの強さの理由:
- 技術的先進性:フェラーリ初のPHEVという、ブランドの歴史におけるマイルストーン。
- 圧倒的なパフォーマンス:1,000馬力という、現行モデルにおける最強のスペック。
- 将来的な価値への期待:電動化時代の「最初のフラッグシップ」としての、将来的なプレミアム価値。
その他注目モデル
上記のTOP5は、もはや「走る不動産」とも言うべき別格の存在ですが、他にも高いリセールバリューを誇るモデルは多数存在します。
• 288 GTO: F40の源流であり、わずか272台しか生産されなかった幻のモデル。オークションでは常に主役級の存在です。

• 488 ピスタ / F8 トリブート: V8ミッドシップの最終世代に近い、高性能スペシャルバージョン。自然吸気ではないものの、その完成度の高さから根強い人気を誇ります。

• 812 スーパーファスト / コンペティツィオーネ: フェラーリの魂とも言える、フロントV12自然吸気エンジンの血統を受け継ぐモデル。特に、限定生産の「コンペティツィオーネ」は、将来的な価値の上昇が確実視されています。

結論:フェラーリの価値は、物語と希少性への投資
ここまで見てきたように、フェラーリのリセールバリューは、単なるクルマの性能や状態で決まるものではありません。その一台一台が持つ、歴史的な背景、生産台数の少なさ、技術的な革新性、そして何よりも、人々を魅了してやまない「物語」によって、その価値が決定づけられるのです。
ラフェラーリやF40、エンツォといったモデルは、もはや単なる中古車ではなく、世界中のコレクターが探し求める「美術品」や「有価証券」に近い存在です。その価値を正しく評価し、取引するためには、市場の動向を常に把握し、そのクルマの真価を理解できる、専門的な知識とネットワークを持つパートナーが不可欠です。
あなたのフェラーリは、単なる移動手段ではありません。それは、あなた自身の情熱と、ブランドの歴史が交差する、かけがえのない資産なのです。
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