【知らないと危険】他車運転特約は法人名義の車に使える?役員は対象外?プロが徹底解説

「自分が経営する会社の車をちょっと運転するだけだから、個人の自動車保険でカバーできるだろう」 「法人名義の車だけど、運転するのは自分だし、他車運転特約が使えるはず」
もしあなたがこのように考えているなら、注意が必要です。万が一の事故の際、保険が使えず高額な賠償責任を負うリスクがあります。
個人の自動車保険に自動で付帯されていることが多い「他車運転特約」。非常に便利な特約ですが、その適用範囲には明確なルールがあり、「自分の法人名義の車」はその対象外となるのが一般的です。
この記事では、自動車保険の専門的な観点から、なぜ法人名義の車に他車運転特約が使えないのか、その理由と正しい備え方について徹底的に解説します。
目次
【結論】あなたの法人名義の車に「他車運転特約」は使えません
まず結論からお伝えします。
あなたが代表者や役員を務めている法人名義の車には、個人で契約している自動車保険の「他車運転特約」は適用されません。
これは、ほとんどの保険会社の約款(保険の契約内容を定めたもの)で定められている共通のルールです。
なぜ対象外?「他車」の定義がカギ
なぜご自身の法人名義の車が対象外なのでしょうか。その理由は、他車運転特約における「他車」の定義にあります。
この特約でいう「他車」とは、「記名被保険者(保険の主な対象者)とその家族が所有・常時使用していない、臨時で借りた車」を指します。
ご自身が役員を務める法人の車は、いつでも自由に使える状態にあるため「常時使用する車」とみなされます。たとえ運転するのがごく稀であったとしても、「実質的に自分の管理下にある車」と判断されるため、「臨時で借りた他人の車」には該当しないのです。
そもそも「他車運転特約」とは?基本をおさらい
ここで一度、他車運転特約の基本について整理しておきましょう。
他車運転特約とは?
友人から借りた車やレンタカーなど、自分や家族が所有・常時使用していない車(=他車)を「臨時で」運転している際の事故について、自分が契約している自動車保険を使って補償を受けられる特約です。
対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、車両保険など、ご自身の保険契約内容に応じて、相手方への賠償やご自身のケガ、借りた車の修理費などが補償されます。
<ポイント>
他車運転特約は、借りた車の保険ではなく、運転者の保険を使うという点が最大の特徴です。友人の車を借りた際に事故を起こしても、友人の保険の等級を下げずに済むといったメリットがあります。
【一覧表】他車運転特約が「使えるケース」と「使えないケース」
具体的にどのような車が対象になるのか、ならないのかを表にまとめました。
項目 | 具体例 |
---|---|
◎ 使えるケース | ⚫︎ 友人・知人から臨時で借りた車 ⚫︎ レンタカー、カーシェアリングの車 ⚫︎ ディーラーや修理工場から借りた代車 ⚫︎ (同居していない)親族から借りた車 |
✕ 使えないケース | ⚫︎ 記名被保険者(ご自身)が所有する車 ⚫︎ 配偶者や同居の親族が所有・常時使用する車 ⚫︎ ご自身が役員を務めている法人名義の車 ⚫︎ 会社の車を業務のために使用している場合 ⚫︎ 別居していても、自分の子供が所有し、自分がいつでも使える車 |
「会社の車」については特に注意が必要です。あなたが役員であれば対象外ですが、一般の従業員が会社の車を「私用のため臨時で借りる」といったケースでは、他車運転特約が使える場合もあります。ただし、判断が分かれるため、必ず保険会社への確認が必要です。
法人名義の車の事故に正しく備える方法
では、法人名義の車を運転する際は、どのように備えればよいのでしょうか。答えはシンプルです。
その車のために、法人として適切な自動車保険に加入することです。
法人の車は、その車自体が自動車保険に加入していなければなりません。個人契約の保険でカバーしようとするのは間違いです。法人契約の自動車保険に加入し、運転者の範囲を適切に設定することで、誰が運転しても補償される状態にしておくことが事業主としての義務と言えます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 一般の従業員が会社の車をプライベートで借りた場合はどうなりますか?
A1. 役員ではない一般の従業員が、会社の許可を得て「私的な目的」で「臨時で」車を借りた場合、その他車運転特約が適用される可能性があります。ただし、「通勤」での使用が常態化している場合などは「常時使用」とみなされ、対象外となることもあります。最終的には保険会社の判断となるため、事前に確認することをお勧めします。
Q2. 親の車を借りたら使えますか?
A2. 親が同居している場合は「同居の親族が所有する車」とみなされ、対象外です。親が別居している場合は「他人」とみなされるため、臨時で借りるなら対象となります。
Q3. 自分の会社の車で事故を起こしてしまったら、どうすればいいですか?
A3. 直ちに警察と、その車が加入している法人契約の保険会社に連絡してください。個人の保険会社に連絡しても、他車運転特約は使えないため対応できません。
まとめ:法人と個人の保険は明確に分けましょう
今回は、他車運転特約と法人名義の車の関係について解説しました。
- あなたが役員を務める法人名義の車は、他車運転特約の対象外
- 理由は「常時使用する車」とみなされるため
- 法人名義の車は、必ず法人として自動車保険に加入する必要がある
「これくらい大丈夫だろう」という安易な判断が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。自動車保険は、ルールを正しく理解して使うことが何よりも重要です。
この記事の内容は一般的な解説です。契約内容によっては細部が異なる場合がありますので、最終的な確認は必ずご自身の保険証券を確認するか、保険会社・代理店にお問い合わせください。
車の買取査定をお考えですか?
希少車・不動車・旧車の買取なら、モビックにお任せください。無料査定で愛車の価値を確認してみませんか?